書籍

逍遥の季節を読みました【傑作】

投稿日:2017-03-10 更新日:

先日、初めて葉室麟さんの作品を読んだときの読後感が最高に良かったので、お初の作家さんに目が向いています

僕が知らないだけで、素晴らしい作品を生み出している作家さんが存在することは間違いなく、そういった人たちとの出会いを求める気持が強くなってるんですね。

ということで、今回選んだのが乙川優三郎という作家さんの作品です。

乙川優三郎さんは直木賞作家でした

恥ずかしながら、乙川優三郎(おとかわ ゆうざぶろう)さんの著書を読んだことがないばかりか、そのお名前自体を知りませんでした。

調べてみると、2002年に「生きる」で直木賞を受賞している他、数々の文学賞を受賞している有名な作家さんだったんですね!

「藪燕」:第76回オール讀物新人賞
「霧の橋」:第7回時代小説大賞
「五年の梅」:第14回山本周五郎賞
「生きる」:第127回直木賞
「武家用心集」:で第10回中山義秀文学賞
「脊梁山脈」:第40回大佛次郎賞(レビューはこちら 脊梁山脈を読みました【感想 → 傑作の一言!】」)
「太陽は気を失う」:第66回芸術選奨文部科学大臣賞
「ロゴスの市」:第23回島清恋愛文学賞

文学作品へのイメージが変わりました

推理小説やSF、サスペンスなどは大好物なのですが、なんとなく「文学=不倫を美化している」というような印象があって、今まで避けてきたんですよね。

でも、それは食わず嫌い以外の何物でもありませんでした。

「文学には、こんな美しい作品世界があったんだ!」と心の底から感じさせてくれたのが、この「逍遥の季節」という作品です。

他のジャンルの作品にはない深みや叙情がたっぷりと堪能できるうえに、その世界観に入り込むと、周りの何にも邪魔されない、研ぎ澄まされた静寂が訪れたような感覚になります。これは文学作品を読んだときならではの現象ですね。

文学作品にどっぷりはまっている人たちの気持が、ちょっとだけ理解できました。

ちなみに逍遥(しょうよう)とは『散歩・そぞろ歩き』という意味なんだそうです。

逍遥の季節の内容

本著は7篇の短編で構成される一冊なんですが、それぞれの作品で、芸や生業に生きる女性たちを生き生きと描いています。

読み進めるうちに、作品内で描かれる見たことのない景色が、リアルに目の前に広がっているように感じられてきます。そして、まるで登場人物が目の前にいるかのように思えてくるんですね。

設定の素晴らしさもあるのですが、主題としているテーマについて非常に深く掘り下げていることも、物語を奥深いものにしています。

その道の専門家でないと出来ないような表現が登場したりするので、乙川優三郎さんは、情報や知識を自分の血肉になるまで落とし込む作業を行っているんじゃないか?と感じました。

ここまでの描写が出来るのは、相当丁寧な取材をしているのは間違いないんですけど、取材だけでは到達出来ないレベルに達している気がします。これが才能っていうものなんでしょうね、きっと。

登場人物7人(厳密にはそれ以上の女性が登場します)の心の移ろいや感情の抑え方などは、男性の僕からしてもすごく理解できますし、それは現代とか古い時代とか、フィクションとかノンフィクションとか全然関係ないんですね。

素晴らしい作品はすべてを超越するパワーがあります。

乙川優三郎さんの筆力に卓越したものがあるからこそ、作品のパワーにつながっているのは間違いありません。

そして筆力には、パワーやエネルギーだけでなく、繊細さも同居していなければ最高の文学にならないということも教えさせられました

期待と諦め、強さと弱さ、依存心と独立心など、相反する2つの間で揺れ動く女心を60歳過ぎの男性がここまで描ききれるものなのか!という衝撃とともに、心が揺さぶられたからです。まさに感動という表現がぴったり当てはまる読後でしたね。

あまりに素晴らしい内容だったので、他の乙川優三郎作品もすぐにでも読んでみたい気持になっています。

スポンサードリンク

スポンサードリンク

-書籍
-, ,

Copyright© むしろ、おじさまと呼んでくれ! , 2020 All Rights Reserved.