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【イニシエーションラブ】実はすごいメッセージ性のある作品だと思う

投稿日:2018-02-15 更新日:

あっと驚く展開、大どんでん返しが好きな人にとっては大好物な内容になってます。

そして、ただのギミック系ではなく、深いメッセージが隠された作品でもあります。

もともとは、2004年にリリースされた乾くるみ氏の小説が原作らしいですが、映像を使わずに最後のオチを説明するのって、かなり難易度が高いと思えて仕方ないんですよね~。

まぁ、プロの小説家さんなので、そんな心配をするのもおかしいんですが、どんな構成になっているのかものすごく興味があります。なので、この後、原作にも目を通してみようと思ってます。

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イニシエーションラブのあらすじ

ものすごく平たく説明すると、

静岡大学に通う大学生「鈴木~たっくん~」が、合コンで出会った成岡繭子(なるおかまゆこ)と恋に落ち、恋人関係になっていく

という内容の作品です。

非モテの鈴木が成岡繭子と出会ったことで、おしゃれに目覚め、内面もどんどん変わっていくんですね。

DTも卒業して、さらに繭子に似合う男になろうと決心、肥満体から脱却するためにダイエット開始宣言をして、繭子もその宣言に喜び前途洋々・・・的な過程が描かれていきます。

この説明だけだと、「は?ただの恋愛映画かよ?」と思うかもしれませんが、そこはほら、いろいろな芸能人たちから大絶賛された小説だけあって、きっちり仕込みがされているわけですよ。ただの恋愛映画ではないところがミソなんですね。

映画は「side-A」と「side-B」の2幕構成になっていて、これがまさにラストの大どんでん返しの布石になっています。

心理学を駆使した作品

この作品の感想を書こうとすると、どうしてもネタバレしてしまうので、「オチは知りたくない」という場合は、ここから先は読まずに「戻る」ボタンを押してくださいね。

 

 

ネタバレしますよ?

 

 

 

 

いいですね?

 

 

 

 

イニシエーションラブのコンテンツ構成

この作品の肝を箇条書きにしてみました。

1.大どんでん返しのネタは披露されてる。つまり人間の思い込みをついた心理的トリックが使われている。

鈴木は静岡大学の理系の学生だという認識が、視聴者の「真実を見極める目」を曇らせてしまうんですね。

2.時間軸を入れ替えることによる錯覚を利用している

鈴木のダイエット宣言や着用アイテム、体の変化によって、時間の流れを錯覚させられます。

このテクニックは、東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」という作品でも使われているんですが、そのトリックを思い出すことがないくらい自然な流れを作るのがうまかったです。

堤幸彦監督のスキルにはやられましたね。

3.伏線が張られまくり

実は後から考えれば、「あれも伏線だったのか」「これもそうか!」と思い当たるシーンが山盛りなんですよね。

例えば、

  • 鈴木が着ている静岡大学のTシャツ
  • 「鈴木は富士通に内定している」という友人のセリフ
  • 「大手をふって地元に残った」という鈴木のセリフ
  • 鈴木のダイエット宣言 → すっかり痩せた鈴木のランニングシーン(日付によって、痩せるのに十分な期間があったと思い込まされる)
  • 繭子が鈴木にルビーの指輪をおねだり → プレゼントされるシーン

などなどがそうです。

セリフによる錯覚がもうひとつあります。鈴木が発したこの言葉ですね。

「まゆのためならなんでも出来ると思っていた。」

完全にモテない男が初めて出来た彼女に対して思う気持ちなんですけど、これもしっかり伏線になっているんですよ。

しかも、「イニシエーションラブ(通過儀礼の恋愛)」というタイトルの意味は、このセリフに集約されてるんじゃないか?とも思わされました。

好きな女性のために何でも出来ると思い込むことが、大人の男性に成長していくための通過儀礼なんじゃないかなと。

この作品は、トリックで驚かせるだけでもなく、ただの恋愛映画でもない内容になっています。行間を読んでいけばものすごく深いメッセージが隠されていることがわかります。

成岡繭子という女性の本質

主人公の成岡繭子は、元AKB48の前田敦子ちゃんが演じていたんですが、これはドンズバのはまり役でしたね~。

ピュアさと、悪魔的計算を行うしたたかさが同時に潜んでいる繭子のキャラを、見事に演じきっていました。

もしかすると、本人は特に演技プランがなかったのかもしれません。前田敦子のポテンシャルを上手に利用することに成功したスタッフ陣のファインプレーだったのかも。

ライトタッチのベッドシーンも可愛かったですし、そのいじらしさにちょっと惚れてしまいそうになりましたからね。笑

後半の繭子の狂気性はすさまじい

繭子の女性の天使と悪魔の顔を見せつけるシーンが、次から次へと暴露される後半は、まさに「女はコワイ」と再認識させられるに十分でした。

  • 鈴木が東京勤務になったあと、すぐに地元で合コンに参加して、初対面の男に色目を使っている。
  • 海に行く約束をドタキャンされたことで、合コンメンバーで海に行く → 電話番号を教える。教え方も「覚えた男性のほうがすごい、自分は悪くない」というエクスキューズを残す方法を駆使。
  • 鈴木からもらった指輪のことを合コンで質問されて、「誕生日に自分で買った」とウソをつく。
  • 「ひとりのご飯は寂しいから」と金曜日のデートを習慣化する → 遠距離恋愛の寂しさを別の男で埋めようとしている。
  • もしかしてこのときすでに、東京に転勤になった鈴木が別の女と良い仲になることを予測していたのかも?
  • 鈴木と食事をしているとき、薬指に指輪がないことを指摘され「どこかに行っちゃったんだよね」とウソをつき、「今度の誕生日に僕がプレゼントするよ」と言わせることに成功。

次の説明に行く前に、鈴木は二人存在していたというネタバレをまずしておきます。

そして、side-Bのほうが時間軸では先、side-Aが時間軸では後ということもバラしておきます。

さらにもうひとつ。side-Aの鈴木たっくん(たくや)を演じたのが松田翔太、side-Bの冴えない鈴木たっくん(夕樹)を演じたのが森田甘路です。

太っていた鈴木がダイエット宣言をして、ランニングを続けたおかげで痩せたと思い込ませるために、松田翔太が後から登場したというわけです。

観ている側からすれば、「がんばってダイエット宣言したとおりに痩せたのか!やるなぁ」と思うのが普通ですし、その後の松田翔太の態度も「女の子に慣れてきたんだな」としか思わない自然さでした。

背筋が凍る繭子の行動

ということを踏まえて、さらに背筋が凍る繭子の行動がこちら。

  • 鈴木(松田翔太)の子供を妊娠中に鈴木(森田甘路)とデートを繰り返している
  • しかも、鈴木(松田翔太)とデートを繰り返した同じ店を利用している
  • 鈴木(森田甘路)に、妊娠していたことを「便秘」だと言ってしまう
  • 中絶後、スッキリした顔で鈴木(森田甘路)とデートしてビールを飲む
    ただしこれは、精神崩壊しないための無理くりなポジティブシンキングとも考えられる
  • 鈴木(森田甘路)も、元カレと同じ呼び名(たっくん)で呼ぶ(未練があるから?)
  • 鈴木(森田甘路)にも、元カレにあげたナイキエアーをプレゼントする(一応、男の人にプレゼントをあげなれてないアピールをする)
  • 鈴木(森田甘路)と結ばれたあと「あなたが初めての相手でよかった」というオオウソ発言(DTだから騙せると考えたのか、中絶後で痛みがあり、それが処女的にみせることが出来ると考えたのか?)

その他にも、繭子のしたたかさを感じてしまうシーンがいくつかありました。

鈴木(松田翔太)が「オレばかりが静岡に帰ってきて、お前は一度も東京にこなかったじゃないか」と繭子を責めるシーン。

1年半交際している間に、1度も東京に訪ねて行かなかったのはさすがに無いな~と思いますね。どうも、「お金をつかいたくないのが理由だったんじゃ?」と感じてしまいます。

繭子が「鈴木が自分を好きな気持ち」を利用していたとは思えないことと、繭子も鈴木を好きだという気持ちが感じられたので、ここはちょっと不可解でしたね。

やっぱり「会いに行くよりお金を使いたくなかった」と考えてしまうのです。

「妊娠したから結婚するっているのも何か違う」というセリフ

これは、最初から結婚する気はないというアピールかな?とも感じました。産めと言われても断ってたような気がしますね。

繭子のフォローもしておきます

こうやって、繭子の言動をひとつづつチェックしていくと、すさまじく恐ろしい女だと感じてしまうんですが、彼女の魔性の部分を引き出したのが鈴木(松田翔太)だったとも考えられるわけです。

そして、遠距離恋愛の寂しさが繭子を変えてしまった可能性もあるんですよね。

ラストシーンで、鈴木(松田翔太)の顔を見ながら、「たっくん、どうしたの?」と割りと冷静に対応していた繭子を見ると、

「もしかして、ド天然なだけなんじゃ?」

という気持ちにもなるんで、繭子の本当のキャラが何なのか掴みきれずにいます。このあたりの繭子のキャラを自分なりに考察するのも、この作品の面白みではないでしょか。

たらればの話

やっぱり考えてしまうのは、たられば話なんですよね。

  • もし鈴木(松田翔太)が静岡から離れなかったらどうなったか?
  • もし繭子が妊娠しなければどうなったか?
  • もし妊娠したときに、鈴木(松田翔太)が「やった~!結婚しよう」と喜んだらどうなっていたか?
  • もし鈴木(松田翔太)が石丸美弥子(木村文乃)から告白されてなかったら?

新しい出会いや環境の変化で、男女の関係性にズレが生まれ、気持ちも変わっていくんだなと久しぶりに思ってしまいましたね。

恋愛のタラレバ論を考えたのなんて、数十年ぶりだったので新鮮な気持ちになれました。笑

ツッコミどころもありました

基本的に、映画を見るときにはツッコミどころに目が行ってしまうタイプなんですが、今回も一箇所ありました。

「石丸美弥子(木村文乃)の会社の飲み会での態度とセリフに整合性がとれていない」という部分です。

  1. 課長から飲みを強要されたときに、軽く無視して、さらにしつこく飲むように言われる
  2. それを鈴木(松田翔太)が止めに入る
  3. 課長が鈴木(松田翔太)に絡み、一触即発ムードになる
  4. そこで美弥子が雰囲気をかえるために、課長のついだ酒を一気飲みする
  5. 課長の機嫌が直る
  6. 鈴木(松田翔太)に「会社勤めするということは、こういうことも想定してたから」と、何でもないという素振りを見せる

この流れを見て、「それだったら最初から課長の酒を飲んどけよ!」って思いましたね。

ただしこれは、鈴木のフォローがはいるかどうかを試し、自分への気持ちを確認したかった計算だったということも考えられるわけで・・・やっぱり女はコワイっすね。

慶応大学卒で、自宅もお金持ちっぽいお嬢さまの石丸美弥子のキャラも、繭子との差別化が図られていてヨカッタです。

鈴木を自らホテルに誘う積極性
愛人でも良いという都合の良い女ポジションもやぶさかでない性格

両親との食事をきちんと受け入れるあたり、鈴木との結婚も考えているんでしょけど、本人には「先のことはわからない」という冷静さ。

本音は別のところにあるにしても、ある種自立した女性特有の感性を感じましたね。

男に依存するタイプの繭子とは、キレイな対比になっていたのが印象的でした。

実際に存在する団体名がいくつか出てきた

実際に存在する団体の固有名詞やアイテムが登場していたので、スポンサードされていたのかもしれませんね。

静岡大学のTシャツ
富士通
慶応大学

エンディングで、当時ブームになったアイテムなどを紹介していたところも懐かしかったです。

かっとびスターレットとか、乗ってた友達が何人かいたし。笑

挿入歌も当時を明確に思い出させるのに、一役買っていました。(「イニシエーション・ラブ -あの頃カーステから流れていた80'S BEST HITS-」っていうコンピレーションアルバムがリリースされてて笑いました。)

ただ、「ルビーの指輪」って1981年の曲なので、時期がちょっと合わないですね。笑

僕は登場人物とほぼ同世代(繭子が1学年上)なんですけど、登場人物のファッションを見て、「あんな服着てたかな?」という印象が強いですね。

僕らの学生時代は、DCブランド、ラルフローレン、フレッドペリー、ラコステなどポロシャツ、ヘリーハンセンのウィンドブレーカーが大学では流行してましたから。コンサバな校風だったから、東京や静岡とはちょっと違ったのかもしれないんですけどね。

バブルと言えば

バブルと言えば、「彼女が水着に着替えたら」「私をスキーに連れてって」などのホイチョイプロダクション系の作品を思い出してしまいます。

本当なら、こういった作品にも言及したかったかもしれないんですが、あっちはフジテレビ系、こっちは日本テレビ系なのであえてはずしたっぽいですね。

(※紹介している作品は、2018年2月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は Hulu の公式ホームページにてご確認ください。)

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