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光まで5分 書評

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光まで5分

お金を出して購入するところまではいかないけど、気になるから読んでみたい・・・と感じる小説を、図書館で借りてみるシリーズです。

第四弾は、桜木紫乃氏の「光まで5分」。

沖縄・那覇のアンダーグラウンド(?)を舞台にした世界観は、独特の匂いをもって五感を刺激してきます。

その場所を知らなくても、リアルに情景が浮かんでくる表現力に圧倒されること請け合い。





光まで5分の読書感

光まで5分

これぞ、プロの作家の表現力!

下手な人がやると、ついついやりすぎてしまう比喩表現が、文脈の中に完璧に溶け込み、情景をよりリアルに感じさせてくれているのが、素晴らし杉ちゃん。

押し付けることなく、それがそっと紡がれているさまは、旅先で見つけた置物が、まるで自分の部屋に飾られるためだけに作られたかのように違和感がない。(我ながら、陳腐な比喩表現やなぁ(゜_゜)

物語の舞台は、沖縄の那覇の裏路地なんですが、これがもし新宿なら、もっと濃厚なダークネスを感じただろうし、香港の町外れなら、エキゾチックな雰囲気が強くなったと思います。

そういう意味でも、沖縄・那覇の独特の空気感を知っている人間にとっては、「この作品ではここがベスト」と感じるはず。

そして、映画化すれば、かなりの名作になりそうです。

邦画ならではの色合いに合っているというか、邦画が得意とする情景にマッチングしているというか・・・どことなく「蛇にピアス」の世界観にも似てるんですが、河瀬直美監督がメガホンをとれば、全く違うカラーを打ち出せて、素晴らしい完成度になると思います。

「2つ目の窓」の持つ空気を、那覇に置き換えて描いてくれるとドハマリしそうだなと。。。

成功のポイントは、間違いなくキャスティング。自分がブッキングを担当するとしたらこんな感じ。

ツキヨ( 38歳):松たか子
万次郎:古川雄輝
ヒロキ:志尊淳

いや、ヒロキがちょっと違うな。・・・でも、純真無垢で、スベスベの肌と青い瞳を持った俳優さんって、まったく思い浮かばんので、とりあえずこれでええか。笑

あらすじ~

都会から那覇へと流れてきたツキヨは、裏路地のさびれた風俗店「竜宮城」で働いている。

ある日、奥歯の痛みに耐えかね、「竜宮城」を紹介してくれた、りんりん食堂のマスターに相談すると、「暗い日曜日」という屋号のバーに行ってみろと言う。

そこには、彫師の万次郎という男性がおり、以前は、東京で歯医者をしていたらしい。

「暗い日曜日」には、沖縄の離島出身のヒロキが同居しており、彼から一緒にここで住むように誘われたツキヨは、竜宮城を辞め、バッグひとつで引っ越しをしてきた。

まとめ

桜木紫乃作品は初体験だったんですが、その卓越した表現力には圧倒されました。やっぱり、詩人という顔を持っているのも大きく関係しているんでしょうね。

なんというか、読者に情景を思い浮かべさせる才能が突出しているのは間違いありません。

個人的には、松本隆氏が描き出す詞の世界観と同じくらい、イメージが明確に思い浮かぶのです。

あまりにも良かったので、今後は文学賞受賞作品を全て読破していこうと思います。

  • 雪虫:第82回オール讀物新人賞受賞
  • ラブレス:第41回釧新郷土芸術賞受賞・第19回島清恋愛文学賞受賞
  • ホテルローヤル:第149回直木三十五賞受賞
  • 蛇行する月:第1回北海道ゆかりの本大賞受賞

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