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【蜂蜜と遠雷】恩田陸の圧倒的な表現力を楽しめる一冊

投稿日:2017-09-03 更新日:

実は、恩田陸さんの作品を読むのはこれが初めてでした。

直木賞候補作品ということで何気なく手に取ったのですが、その後、直木賞を受賞しただけでなく、2017年本屋大賞まで受賞するという快挙を成し遂げた作品となりました。

恩田作品は、過去に、「夜のピクニック」や「木洩れ日に泳ぐ魚」を本屋さんの店頭でパラパラっとめくったことがあったものの、なぜかその時は買うことはなかったんですよね。

でも、最初にこの作品を体験したことで、他の作品を読んでみたい欲求が一気に高まりました。

あらすじ

実際に読んでほしい作品なので、あえてあらすじは書かないことにします。でも帯の裏表紙側に書かれていたので、画像をアップしておきますね。気になる人はこれを読んでみて下さい。笑

読み終えたあとの感想

とにかく、恩田陸さんの圧倒的な表現力の凄さが際立っていて、「臨場感あふれる」などという言葉だけではとても言い表せない程の迫力を感じました。

ストーリーは「第6回・芳ケ江国際ピアノコンクール」という有名なピアノコンクールが舞台になっているんですが、もはやこの作品自体がひとつの楽曲のように感じられて、読み進めるうちに『「起承転結」ではなく「第一楽章・第二楽章・・・』という構成に思えてきたんです。

恩田陸さんのプロフィールはほとんど知らないのですが、ピアノ曲やオーケストラに対する造詣や知識も深い方なんですね。

ただそれは、取材技術が高いのか、音楽への感受性が強いのか、はたまたその両方なのかがわかりません。

とにかく、ありとあらゆる側面からクラシックの名曲を捉えて表現しているんです。

登場人物たちがコンクールの予選で披露する楽曲を、別の登場人物たちが分析したり感想を述べたりする場面も多いですが、このあたりも巧みで、読者に解説していると感じさせないような配慮がなされています。

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登場する楽曲一覧もある

嬉しいのは、登場人物たちが演奏した楽曲一覧がしっかり明示されている点ですね。このおかげで、読み終わったあと聴いてみて、さらにもう一度読み返すことで深く理解することができるようになっています。

もちろん、作中の言葉を借りるなら、演奏者によって楽曲の印象は大きく変わるので、誰の演奏を選ぶか?ということも重要になってくるんですけどね。でも気にいった曲なら別々の演奏者で聴き比べてみるのも楽しいと思います。

際立った個性のキャラクター

登場人物たちのキャラクター設定も秀逸で、ピアノコンクールを見たこともない僕からしても、「それぞれ天才にもいろんな種類があるんだなぁ」と理解できるくらい、それぞれの個性が際立っていました。

一番、「こういう子っているよな~!」と感じたのが、ジェニファ・チャンでした。

彼女に関しては最も明瞭にその演奏が頭の中で鳴ったくらい、人物像と出す音がはっきり伝わってきたんですね。

音楽はすごく好きなので、プロもアマも含めて過去に聞いたことのある楽器演奏者も多いのですが、彼女の演奏シーンではその中の何人かの演奏が重なりました。

「うまいけど、音楽を愛していないんじゃ?」と感じる演奏と言えば伝わるでしょうか?一種冷めたような、目的が音を楽しむことではないような、そういう空気を強く感じたんです。

あと、話しているシーンでは、高校時代のとあるクラスメイトを思い出しました。ほんと、そっくりすぎるほどどそっくりだったもので。笑

風間塵はすごかった

逆に風間塵の演奏シーンには恐怖と快楽に包まれたんですね。

彼の演奏は審査員や観客の間で賛否両論を巻き起こしますが、もし僕がその音を体感していたら、自分が宇宙に放り出されたような感覚になったんじゃないかなと思ったんです。それが恐怖の理由です。

でも、冷静に考えれば、宇宙に漂う自分は果てしなく自由であり、五感が研ぎ澄まされた状態なんですよね。なので、「もしかするとこれ以上の快適な空間と時間はないのかもしれないぞ?」と思い直しました。

そして、クラシック音楽界で誰もに認められる存在である「ユウジ・フォン=ホフマン」が、風間塵のことを「ギフト」だと言った本当の意味には完全に同意できました。

カムバックしてきた栄伝亜夜

メインとなるコンテスタントたちのなかで、いちばん気になったのは栄伝亜夜という女性ですね。

子供の頃から天才と言われ、ソロリサイタルを開くほどの実力者だったのにもかかわらず、マネージメントをしていた母の他界によってピアノから離れることになってしまった栄伝亜夜。

そんな彼女が大人になり、再びクラシックピアノの世界へカムバックしてきたのです。

そうなった経緯も、音楽の神様に導かれた結果のような気がしましたし、彼女が自分の音楽を見つけ出していくさまは本当に感動的でした。

まとめ

いくら書いても書ききれないほど感動した作品でしたので、音楽好きもそうでない人も是非読んでみてほしいと思います。

特にプレーヤーは必読です!

自分は登場人物の中で誰タイプなのか?と考えながら読めるのは、ある意味三国志に近いものがあります。

また、自分の周りにいる友人や知人がどのタイプなのかを当てはめるのも面白いですね。

小説におけるキャラクター設定はこうするんだよ!と教えられることが多いので、物書きを目指す人にも参考になる小説だと感じました。

それにしても幻冬舎っていう会社は、本当に良い作品を世の中に送り出してくれますね。素晴らしい!

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