昨年の大阪2ND LINEでのクレ山のライブのときに、「2018年はミニアルバムをリリースします」という話しを聞いてから約半年。
ようやくこの日がやってきました。
先行シングルの「トレイルラン」と同じく、タワーレコードだけの取扱いということで、6月6日の発売日に、ミント神戸のタワレコ神戸店に喜び勇んで買いに行ったわけですがぁ・・・
なんと、まさかの在庫ゼロ!
渋谷店では、ポップまでこしらえたコーナーが出来ていたのに、神戸店は入荷なし。
そりゃないぜ、セニョリータ。このせつなさをどうやって晴らせばいいんだい。
まぁしかし、ないものはない、ねえ袖は振れやせんってなことで、諦めてすごすご帰宅し、ネットで取り寄せることにしました。
目次
タワーレコードオンラインで注文
三宮に入荷がないんなら、西宮はどやねん?とは思ったものの、わざわざ足を運んで空振りに終わると、ダメージが半端ないと想像できたので、オンラインショップで注文することにしました。
んで、発売日から遅れること4日、10日に届きましたよ~。
これが中身。
ジャケットもポップでナイスデザインですが、盤もブルーにして統一感が出ててナイス!
先日、あらためて山バンド宣言があったところなので、今後は山を打ち出したデザインになっていくと思われますが、夏前のリリースなので、こういう爽やかなイメージも良いですね。
「Be What You Wanna Be」の収録曲
- Explooosion!!
- トレイルラン
- あっためてくれ!
- STEP BY STEP
- 赤いレンタカー
- Mr.オンタイム
- グッドモーニング・アゲイン
音源としての初収録曲は「Explooosion!!」「STEP BY STEP」「赤いレンタカー」「グッドモーニング・アゲイン」の4曲。
3曲めの「あっためてくれ!」に関しては、2016年7月リリースの「DEMO山ドリル」に、「LIVE盤デモ音源」として収録されていました。
まぁ、アレンジなども変更が加えられていると思うのですが、純粋に初収録というわけではありません。
「Be What You Wanna Be」の感想
トレイルラン」と「Mr.オンタイム」に関しては、こちらでレビューしていますので今回は割愛。
その他の曲について感じたことなどを、あれこれ書いてみることにします。
1.Explooosion!!
最初聴いたとき、
「あ、アニメの主題歌を取りに行ったな!」
と感じましたね~。
青春系の作品のオープニング曲に最適な歌詞とメロディとアレンジが耳に残ります。コーラスもアゲアゲになるためのフックになってますね。
ラップのパートの「ニトロセルロース」などなどのキーワードも、若さの栄養素的な捉え方が出来ますし、なにより「Explooosion!!」というタイトルが、若さのほとばしりを感じさせますね~。
個人的には、サビ前のギターとベースのユニゾンで燃えました。笑
そして、残念ながら脱退してしまったマッハくんのドラムがめっちゃいい!
オンタイムで来るビートが、疾走感を生んで、この曲にぴったりのグルーブを作り上げています。
どこか懐かしいような、キャッチーなメロディとともに、ライブのオープニングにも最適な1曲に仕上がっています。
大サビ前からエンディングに向かっていく展開も、非常によく練られていて、この曲をクレ山の代表曲のひとつにするという意気込みを感じさせてくれました。
タイアップ
2018年10月12日~
・山形・さくらんぼTV「えがおさくさくキャンペーン」ソング
・60秒キャンペーンCM 「みんなで生涯スポーツ・ミニテニス」のBGM
3.あっためてくれ!
「トレイルラン」以前のクレ山の歌詞の世界観はそのまま残しながらも、アレンジが変われば、今のクレ山の曲になるんだという良い例の1曲ですね~。
そして、ベースの西山くんの際立っているコード感覚が強く印象に残ります。
浮遊感のある音の選び方をさせると、素晴らしいセンスを発揮しますよね、この人は。
分数コードの研究とか、かなりやってるんじゃないでしょか。
BメロのU2っぽさとかは、クレ山はアメリカではなくイギリスのバンドを好んでいるのかな?という気になりますね。
「カップラーメン」という歌詞は、以前は「カップヌードル」で、PVにも日清のカップヌードルが映ってました。
そのときに、商標でひっかかったりしないのかが心配になったりもしたんですが、そのへんは事務所がちゃんとチェックして変更になったんでしょうね。笑
ところで、レフトチャンネルのギターが前さん?・・・・今まで、ライトチャンネルが前さんで、レフトがレイくんというイメージになっていたので、ちょっと戸惑ってしまいました。
ライブでギターの割り振りがどうなっているのか、しっかりチェックしたいところです。
バンドとして、技術的にもアレンジ的にも、一皮むけたことがよく伝わってくる1曲です。
4.STEP BY STEP
初めて聴いたのが、2017年のハチ北フェスで、その後もライブで2回聴いていたんですが、こうして音源になるとかなり印象が変わりますね。
「え?そんなコード進行やったっけ?」というBメロとか、ライブで聞いたときには気づかなかった、良く考えられたアレンジに、おもわずニンマリしてしまいました。
イントロのコードも、Aメロの裏のギターのメロディも、ナイスセンスです!
あと、「Mr.オンタイム」もそうなんですが、クレ山って、ハンドクラップの使い方が上手いんですよね。
曲に絶妙なポップ感が出るのは、このハンドクラップアレンジが効いているのは間違いないです。
後半のサビでブレイクしたときの、西山くんのフレーズの最後のノートとか、「狙ったな!」というのが感じられたのもGood。笑
ギターのバランスもいいですね。
プレイ的には、歪んだ音で白玉でジャーンと伸ばすのって、なかなか出来ないんですよ。ついつい、刻んだりしたくなるのがギタリストってもんですし。
なので、こういうプレイができるギタリストは尊敬します。
5.赤いレンタカー
ライトチャンネルで、ちょっと奥まったところで鳴っている、リバーブのかかった歪んだギターが素晴らしい!
この曲の印象を大きく決定づけているサウンドとフレーズと録音バランスがナイスです。
そして、Cメロの裏打ちのギターカッティングも、いかにもレゲエっぽく仕上げていないところが、音楽をわかっているな~と思いましたね。
リズムも中南米系のフレーズを取り入れているにもかかわらず、イメージは「ビーチ」ではなく、「登場人物が、ドライブで気持ちよい風を感じている」と伝わってきます。
ライブでタオルを回したくなること請け合いのサマーチューンですね。
っていうか、この曲もマッハくんがいい!生っぽいスネアサウンドもいいですが、ジャングルっぽくなりすぎないリズムの組み立てがセンス100!
6.グッドモーニング・アゲイン
このアルバムのラストを飾るにふさわしい名曲です!
イントロの「夜明け感」から、徐々に盛り上がっていく感じが「グッドモーニング」をばっちり表現していますね。
サビ前のギターのボリュームワーク(ワウ)は、やりすぎたかな?というキライはありますが、まぁそのへんは大きく問題にする必要はありません。枝葉の問題です。
それよりも、この曲の持つ「ポジティブパワー」は、「トレイルラン」で開眼したマルフォイの歌詞ワールドの続編とも言えるもので、「背中押し」系の胸アツソングに仕上がっているのが素晴らしいですね。
マルフォイの素晴らしいところは、手垢のついた言葉を選ばず、それでいて、難解ではなくわかりやすい、メロディとシンクロしたフレーズを組み立てるセンスに長けていることです。
そして、聞いていると、胸の内側から何かがこみ上げてくるような世界観を作り上げることができるというのも、彼の才能のひとつです。本当に良い作詞家だと思います。
その言葉のセンスと、世界観の構築能力を活かして、将来的には小説と言わないまでも、コラムなどの執筆業にもチャレンジしてほしいものです。
あとですね、前さんのギターソロも、ジャクソン・ブラウンの曲でも使えそうなサウンドとフレーズで、良いですね~。
この曲はレイくんはキーボードを弾いているのかな?未確認なんですけど、シンプルながら曲を印象づけるフレーズが秀逸ですね。
良かった頃の松田聖子さんの楽曲に入っていたキーボードを聞いているようで、非常に心地よかったです。
「Mr.オンタイム」のフィードバックがかかってくるシンセサウンドも秀逸でしたし、今後のクレ山にはキーボードが不可欠になってくるかも。
レイくんはギターとキーボードで大忙しでしょうけど、期待してます。笑
マッハくんのハイハットワークが素晴らしいのも、ぜひチェックしてみてください!
内容的にぴったりだと思うので、クノールのカップスープのCMのタイアップ、こないかな~。川口春奈ちゃんのやつで。笑
「JUNGLE LIFE」248号のインタビュー
月刊音楽フリーマガジン「JUNGLE LIFE」248号のインタビューによると、
- ジャケット写真の緑・オレンジ・青っていう3つの配色は山・太陽・空を表している
- M-3「あっためてくれ!」からM-6「Mr.オンタイム」までは1つの時系列でつながっている(「あっためてくれ!」で出会って、「STEP BY STEP」で初デートをして、M-5「赤いレンタカー」では付き合っている。「Mr.オンタイム」が変なオチ)
とい、アルバムに込められたメッセージが語られています。
まとめ
3年もたつと、バンドというのはこんなにも成長するのか!と、感動させられました。
楽曲のクオリティとアイディア、演奏スキル、自分たちが伝えたいこと、バンドとしての覚悟などなど、さまざまなものが一気にレベルアップしていて、おじさんは泣いてしまいました。笑
ファンだから言うわけではないですが、これだけのクオリティのミニアルバムを制作できる若手バンドが、日本にどれだけいるのかって話しですよ!
自己満足の世界観に浸っているような、「アーティスト気取りのバンド」とは、中身が全く違います。
ポピュラーミュージックの最大の命題である「大衆にわかりやすく伝える」ということをクリアしつつ、自分たちが進むべき方向性は「これなんだ!」と訴えかけるアルバム。
それが、この「Be What You Wanna Be」なんですね。
クレ山は「アーティストではなくバンド」・・・これを再認識させられた1枚でした。
おそらく、ボーカルのマルフォイの脳内が本物のアーティストだからこそ、「伝えたいことをきちんと伝える」ということを考え抜いたんだと思います。
このアルバムの中には、わかりやすさと確固としたこだわりが同居しています。
バンドの新しいキャッチコピー「グッとくるのにユーモラス!」と、今の最終目標である「笑顔の先の涙」というテーマにも、しっかり寄り添った内容になっているのが良いですね。
こういうアルバムが売れないなら、日本のシーンなんて、大したことないと断言できるクオリティですよ!
四の五の言わず、とにかく聴け!