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秋月記は葉室麟の時代小説です【傑作】

投稿日:2017-02-27 更新日:

福岡城・秋月藩
今までは、推理小説とSF系をメインに読書してきたのですが、年齢的なものもあって、若い男の子とお嬢さんの恋愛小説などには全く興味がなくなってしまい、最近は時代小説を手に取る機会も増えました。

これがまた、非常に面白い作品が多く、土地や時代についての知識も増えるのでかなりためになってます。読んだほうがいいですね、時代小説!

今回は、僕にとって初めての葉室麟(はむろりん)作品、「秋月記」を読んでみました。


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秋月記を読み終えた感想

本藩の福岡藩とその支藩である秋月藩との間に起こる出来事が描かれた作品でした。

物語のスタイルとしては、筑前秋月藩士・間余楽斎の人生を回顧していくという内容になっています。

冒頭で現在の状況を描写しておき、そこから時間を巻き戻し過去の話を紡いでいくという手法は、目新しいものではないのですが、素晴らしいのは「人物の印象を180°変えさせる」という設定でした。

最初の数ページで感じた間余楽斎の人物像と、読み終えたあとのそれが全くの正反対に入れ替わってしまうんですよね。おそらく、僕のように、作者である葉室麟さんの策略に見事引っかかったという読者さんも多いんじゃないでしょうか。

秋月記・葉室麟

また、武家社会における凛とした侍の生き様と、それを支える妻の美しさが描かれていたことも見逃せません。

現代においては、人生を達観したかのように見えてしまう間夫妻も、当時はごく普通のことだったのかもしれないと思うと、「現代に生まれてヨカッタ」と思ってしまいます。

こんなふうに筋が一本通りまくった生き方など、絶対に出来ない自信がありますし。笑

映画やドラマのような映像作品と違って、小説は行間を読むのも楽しみのひとつです。

秋月藩の中では他の武士たちがどのように考え、どのように行動していたのかを想像するだけでも、楽しさが倍増しますね。

小説のネタバレブログも数多く存在しますが、「本は自分で呼んでナンボ」だと思っているので、ネタバレだけ読んでわかったような気にならないでほしいです。テレビの旅行番組を見ても、その現地の空気感はわからないのと同じで、小説は実際に自分で読んでみてどう感じるかが大事ですからね。

そういう意味では、半分はフィクションだとしても、日本の過去にこういう出来事があったということに思いを馳せるきっかけになる良い作品だと思います。

ちょうど、Huluで「駆込み女と駆出し男」を見たりしていたので、それともあいまって「時代物って、やっぱりいいなぁ」という気持ちが深まりました。(本当は、大正とか昭和初期の時代背景の作品が一番好きなんですけどね。)

知らない言葉を知るきっかけにもなる

時代小説を読むメリットのひとつに、「今まで知らなかった知識が増える」ということがあります。

恋愛小説には申し訳ないですけど、読むことが自分の知識量を増やすのに役立つか?と言われれば、答えは「ノー」と言わざるをえません。

その点、時代小説はまだまだ知らない言葉やシステムが数多くあることを再認識させられることが多いです。

秋月記においても、こういうセリフがありました。

「古処殿は亀井南冥先生門下の俊秀だ。」

俊秀(しゅんしゅう)っていうのは、「としひで」っていう男性の名前だと思ってたら違ったんですよ。笑

他にも、「術に淫する」「算勘の才」「外連」などなど、現代では耳にしない言葉が頻出して、その都度意味を検索しながら読み進めていきました。

文脈で意味はわかるのですが、こういったときにしっかり調べておくことが知識を増やすことにもなるので、そこは手抜きせずにやりましたよ~。

一応、文学部出身なので(英文科だけど)、いろいろな言葉に出会う回数は多かったのにもかかわらず、この程度の知識しかないっていうのは、「一生勉強しないとダメですよ」と言われている気がしますね。

秋月記・葉室麟

まとめ

兵庫県人にとっては、馴染みの深い黒田家が福岡藩の藩主ということで、より身近に感じられた作品でした。

第一印象が悪い人物でも、その背景や考え方、行動などを知らないと人となりを判断してはいけないということも、改めて考えさせられました。

葉室麟さんの文章力や構成力には、ただただ圧倒させられるばかりだったのですが、こんな素晴らしい作家さんの作品を今まで読んだことがなかったのは、大きな機会損失です。

これから他の作品も手にとってみようと思います。まずは下記の作品からですね。

  • 「乾山晩愁」:第29回歴史文学賞受賞作品
  • 「銀漢の賦」:第14回松本清張賞受賞作品
  • 「蜩ノ記」:第146回直木賞受賞作品
  • 「鬼神の如く 黒田叛臣伝」:第20回司馬遼太郎賞受賞作品

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